17件の過去ログ旅日記を、時系列に、1記事に再編集しました。読みやすくなりましたが、長いです。

東北スケッチルート図

一気に、最北竜飛岬まで行き、南下しながら十三湖、岩木山、岩手山、花巻、安達太良と1週間、車中泊しながら描いてきました。

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1日目 (2014.9/17)自宅―青森県浅虫温泉

岩手山SA

AM6:00 東名厚木ICから青森に向け出発。途中、岩手山SAから、岩手山の上半分が見えた。帰り道に寄る予定だが、お天気がどうなるか分からない。先を急ぐよりも、見える時に描いておいた方が、あとで岩手山を作品にする時に、役立つかも知れない。早速、少し秋色の1枚目をスケッチ。

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1時間ごとに運転を交代し、一路北へ。780キロ 所要12時間 PM6:00青森の町外れ、道の駅 浅虫温泉に着いた。レストランのラストオーダーは6:30。あわただしく、夕食をすませた。                    (道の駅 浅虫温泉泊9/17)

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2日目 (9/18) 浅虫温泉―龍飛今別-龍飛岬―十三湖

龍飛今別

昨夜は、断続的に何度も強い雨が降ったが、今朝は晴れ、まずまず。携帯コンロで湯を沸かし、ポットにいれたところで、海の向こうの龍飛岬の方から、ワーッと雲が湧いてきて、ザーッと雨がきた。エ-ッて、いう感じの天気の変化だ。10分ほどで、またパッと晴れた。

国道4号(奥州街道)で市街を抜け、280号(松前街道)で竜飛岬に向かう。

北の空に虹が架かっている。またザーッと雨がきた。280号が、陸奥湾から津軽海峡の外海に向かう辺りの港で、イカ釣り船をチラッと見かけた。

それから10分ほど走り、外海に向いた途端、猛烈な西風になった。白波の海の彼方に、龍飛岬の風車が見える。このまま走っても、陸奥湾の漁港風景は描けそうもない。イカ釣り船が見えた所まで引き返した。港に降りると、良い風景が待っていた。

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竜飛今別のイカ釣り船(油彩P10)

イカ釣り船の実物を見たのは初めて。ここで油彩を描きたいところだが、雨が心配。それでも幸運な事に、スケッチしている間は、晴れたり曇ったりで雨はなかった。大きな作品にも展開できるように、船の装備、周りの古い建物など、パーツになりそうなものを何枚もスケッチした。

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龍飛今別のイカ釣り船(P100油彩)

龍飛岬

/中なのに、竜飛岬はもうシーズンオフらしい。観光客は少ない。奥能登の狼煙でもそうだったように、時折、観光バスが来て、ちょっと灯台を見て、10分程で帰っていく。

龍飛岬の先端の階段が、下の道路に繋がっている。階段も国道380の一部だという。階段は、かなりの段数がある。崖下に見える漁港の角度も、いまいち。猛烈な西風で、スケッチブックも拡げられない。しかたないので、車の中から見上げるように、灯台を描いた。

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龍飛岬灯台(油彩F4)

ここで車中泊し、その翌朝、階段国道から見える竜飛漁港を、油彩で描く計画だった。車中泊する気配の人は、まったくいない。猛烈な風の中で、1台きりの車中泊は心細い。先に行った方が良さそうだ。今日、今別でイカ釣船を描いてきて良かった。


津軽海峡

龍飛岬での車中泊はやめ、次の目的地の十三湖に向け、日本海側を南下する。そう言えば、龍飛岬でバスガイドが、「本州最北端は下北半島だ」と、云っていた。あれほど地図を眺めていたのに、下北を外していたので、ここに来るまで、龍飛岬が本州最北だと思っていた。


十三湖に行く途中、眺瞰台という展望台で、雄大な景色を見た。龍飛岬、津軽海峡、その向こうに函館が見えた。絵にするには景色が大きすぎる。何とか工夫して、横長の画面に描いた。

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津軽海峡(油彩P6)

十三湖高原は、その名のとおり、十三湖が見える少し高台にある。道の駅は新しく、駐車場は静かで広い。


車中泊する人の心理には、一定のパターンがある。1台では心細い。でも、あまり他人と関わらないように、一定の距離を保つ。今日の車中泊は2台。後から来た車は、少し離れたところに停まった。
                    (道の駅 十三湖高原泊 890k)

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3日目 (9/19)十三湖―岩木山―弘前

十三湖

昨夜も、たびたび、ザーッと大雨がやってきたが、高台だったので、なんの心配をせずに済んだ。


数年前、日展で、一水会の吉崎道治氏の”十三湖”を見た時から、ここに来たかった。まったく平らな風景で、吉崎氏が何処を描いたのか、さっぱり分からない。

十三湖大橋を少し越えたところに、良い駐車スペースがあった。浅瀬に箱を浮かべ、お婆さんがシジミを採っている。絵になりそう。スケッチが終わる頃、迎えの船がやって来た。


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十三湖(油彩P10)

十三湖もスケッチできたが、天気が心配で、まだ油彩道具を拡げることが出来ない。


岩木山

十三道で、十三湖から岩木山へ。岩木山が近づいた辺りで、昼食の調達にコンビニに入った。その時は晴れていた。車に戻った時は、もう曇空になっていた。まわりは田圃だから、景色の殆どは空。北から雨が来るのが見える。アッという間に大雨になった。そして、昼食が終わる頃には、またパッと晴れた。


通称、アップルロードは岩木山の裾野を廻る。スケッチポイントを探して、アップルロードを行ったり来たり。今はリンゴが実っている。本当は、山に雪が残り、リンゴの花が咲いている時期に来たかった。

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岩木山とリンゴ畑(油彩F8)

アップルロード以外、山に対して横向きの道路がない。殆どの道は、細い縦の道ばかり。その中で、リンゴ畑の作業の迷惑にならない駐車スペースを見つけ、素早くスケッチした。妻が畑作業のおじさんと話している。サン津軽は終わり、10月中からジョナゴールドだという。


カーナビを設定している時、車中泊予定の道の駅・田舎館の近くに、スーパー温泉という文字を見つけた。きょうは風呂に入れる。この温泉は町営で、かなり名前負けしていたが、風呂上がりで気持ちよく寝ることができた。         (道の駅 田舎館泊 1061k)

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4日目(9/20)弘前―十和田湖―松尾八幡平

高村光太郎の乙女の像

天気が不安定なので、まだ油彩を描いていない。スケッチばかりなので、逆に1日余裕ができた。妻の要望で、予定になかった十和田湖に行くことにした。


黒石から102号で行く。道路地図では、好景観マークが付いていた。だが、紅葉シーズンには、まだ早い。シーズンオフの展望台には人影もない。北海道スケッチでもそうだったが、この湖も描く気が起こらない。


偶然、“乙女の像”の案内標識を見つけた。「そうだ、高村光太郎だ」、駐車場から徒歩7分、公園の外れの湖畔に建っていた。女性像に対し、”逞しい”と、いうのは、おかしいが、生命観のあるすばらしい作品だった。

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高村光太郎の乙女の像

団体がやって来ては、集合記念写真を撮って帰っていく。団体をやり過ごし、光太郎に敬意を表してスケッチした。湖の向こうから雲の塊がやって来た。その下がけむってっている。このパターンには少し慣れた。雨が来ると直感し、急いで駐車場に戻る。車に乗り込んだ時、大粒の雨が来た。まるで昨日と同じだ。


十和田大湯堀内

十和田湖から103号で十和田ICに向かう。地図を確認すると、ここは秋田のはずれ、「エッ、ここは、秋田なんだ。」、「本当は、秋田内陸鉄道の田舎風景を描きたかったなあ。」そんな会話をしていた。


色づいた田圃が目に入り始めた頃、脇道から良い感じの集落が見えた。直感で、すぐ脇道を入った。そこには、長閑な秋田の田舎風景が拡がっていた。切り出した木材もある。「秋田杉かな」、農業と林業の村のようだ。小川の流れも、とても感じが良い。

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秋田の田舎風景(油彩M20)

内陸鉄道方面に行かなくても、秋田の田舎風景が描けた。


明日は岩手山を描く予定。ポイント探しのため、十和田ICから東北道に乗り、松尾八幡平ICで降りた。いったん八幡平側に走り、その後、岩手山に向かったが、とうとう、次ぎの西根ICの入り口まで行っても、良いポイントは無かった。西根ICから、また東北道で北に向かい、車中泊のために岩手山SAへ。


今日は思いがけなく、十和田湖で乙女の像を見ることが出来た。そう言えば、”佐藤忠良の緑の風が”、仙台にある。SAでipadを使って所在地を確認した。急遽、あさって仙台に寄って行くことにした。                        (岩手山SA泊)

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5日目(9/21)松尾八幡平―狼森―花巻

岩手山

岩手山SAから、再び北に向かい、また松尾八幡平ICで降りた。昨日は八幡平方面に向かっても、良いポイントがなかった。今日は反対方向に走ったら、すぐにいい景色に出会った。岩手山の裾野までよく見える。

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しかし、ここは岩手山の北東側にあたる。陽が回れば、すぐに逆光になってしまう。今日は天気がもちそう。待望の油彩が描ける。一気に、午前中で描き上げた。

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松尾八幡平の岩手山(F8油彩)

そう言えば、今日は市街地を通過していない。昼食の用意を忘れた。妻は水彩スケッチをしてから、油彩を描いている。まだ時間がかかりそう。とりあえず車に戻り、携帯コンロで湯を沸かした。


その脇を、小さなトラクター通りかかる。お婆さんが運転している。昔の人は偉い。見知らぬ私にも、小さく会釈して通り過ぎる。畑仕事に行く様子でもない。日常の足代わりのようだ。遠く、まがりくねった坂道を、カタカタ行く。「うーん! いい。」静かで、ゆったり時間が流れる。非常食のカップヌードルでも、今日の昼食は、とてもおいしい。


今日は、もう一カ所、行きたいところがある。宮沢賢治のゆかりの地、狼森(おいのもり)。そこには、小岩井牧場と有名な一本桜がある。1時間ほど走って着いた狼森は、岩手山は上半分しか見えなかった。今日は十分、岩手山を描いたから。狼森に来られたことでよしとしよう。


再び、東北道を南に100キロ走り、一路、明日の予定地の花巻へ。道の駅 東和は、釜石自動車道ICのすぐ脇で、隣接して温泉もある。駐車場の前面が田圃で、静かで広い。温泉に入り、レストランで生ビール付きの夕食をとった。


真夜中、外に出てみると、真上にオリオン星座が輝き、満天の星空だった。車中泊旅行のささやかな贅沢だ。三つ星に下に、今まで見たことのない小三つ星まで、はっきり見えた。「宮沢賢治は、この星空を見た。そして星めぐりを書いたのだ?」     (道の駅 東和泊)

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6日目(9/22)花巻―仙台

宮沢賢治のイギリス海岸

夫婦そろって宮沢賢治のファンで、宮沢賢治記念館に寄るために花巻に来た。開館時刻には間がある。近くに、宮沢賢治が”イギリス海岸”と呼んだ北上川の岸があるので行ってみた。

土手の散歩道で、何人かのおじいさんとすれ違った。小さなカメラを持ち、行ったり来たりしている。水量が多いので、凝灰岩の岸は殆ど見えない。支流の土手に腰掛け、スケッチした。

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宮沢賢治のイギリス海岸(P10油彩)

妻は、遠くで、散歩中の地元の女の人と立ち話をしている。普段は、もっと水量が多いらしい。賢治がイギリス海岸と呼んだ凝灰岩の岸は、現在は水流で浸食され、普段は見られないそうだ。


9/21が宮沢賢治の命日で、昨日からダムで水量を下げているそうだ。それで、地元のおじいさん達は、イギリス海岸が現れるのを待っていたのだ。記念館では、賢治の人生観、世界観、宇宙観を存分に感じてきた。


佐藤忠良のみどりの風

午後、花巻から南に120キロ走って仙台へ。台原森林公園は、街中のとても広い公園。駐車場を探して公園の外側を半周し、ようやく、小さな駐車場を見つけた。どうも、ここは正門ではなさそう。公園に入るとすぐに、女性像が目に入った。前バランスの静謐な立ち姿から、舟越保武の作品であることが、すぐに分かった。舟越保武の茉莉花(まつりか)も、ここにあったのだ。


さすが仙台は文化都市だ案内図によると、“緑の風”は1キロ先。陽も傾きかけている。急ぎ足になった。それは、右手の高い石段の上に、突然現れた。青空をバックにした”緑の風に”感動した。

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もうじき、周囲の樹木の影がかかってしまう。その周りをグルグル見て回った。どの角度から見ても素晴らしい。とてもハイセンスな作品だった。この角度は逆光だが一番美しかった。高村光太郎もよかったが、佐藤忠良もいい。

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佐藤忠良のみどりの風

いよいよ明日は最終日、今日は安達太良まで、もう一走り。
                           (安達太良SA 泊)

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7日目‘9/24)仙台―安達太良高原―自宅

安達太良高原

前回、安達太良に来たのは、震災前の2009.3/末だった。雪がチラチラし気温2℃の中でスケッチしたが、とうとう作品に出来なかった。季節は違うが、もう一度描きたかった。本宮ICで降り、ポイントを探しながら走ったが、結局、前回と同じポイントに来た。


今日は天気が持ちそう。2枚目の油彩が描ける。前回とは少し位置を変え、別荘風の家の前の坂道で描き始めた。しばらくすると、その家の奥さんが見学に来た。そして午後、ほぼ完成の頃を見計らって、「お茶でもどうぞ」と声をかけてくれた。安達太良高原が見渡せる、庭のベンチで、コーヒーを頂いた。

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安達太良高原(油彩F8)

白馬・野平でも能登・狼煙でも、地元のおばあさんが「お茶でも出すから、寄っていきなせー」と云われたが、実際に寄せて頂いたのは初めてだった。都会から移り住んで十数年、さながら”人生の楽園”的生活をしている。都会では、人との距離をとる。この方の人柄かも知れないが、ここでは、人との距離は近い。


車中泊と知って「町営でいいところだから、寄っていったら」と、日帰り温泉を教えてくれた。元は厚生年金財団の施設で”空の湯”というだけあって、高台にあり、安達太良山の景観も最高、設備も立派だった。

おかげで、良い気持ちで帰路に・・家まであと350キロ、油彩2枚スケッチ11枚、良い旅だった。


長い記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。                おわり


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