季節の風の中で

自然に感動した時、生きている事を実感する。その感動を誰かに伝えたい

二人展が終わり、8点の作品が友人達のところに行った。永く掛けてくれればいいが、友人達も断捨離世代なのが気になる。

正直、作ったばかりの額を付けてやるのが、ちょっと惜しい気がする。料簡が狭いようだが、額作りの労力を思い出すからだ。これで先輩方や友人達に一通り行き渡ったが、「気持ちが伝わったかなあ」。
一碧湖湘南ギャラリ奥谷
一碧湖(油彩 F6)

一応、希望する作品を聞いたが、1番人気だったのが「一碧湖」、5人が「これが欲しい」と云った。私としては、「未発表だからこれも出すか」といった程度の作品だった。

二人展に来た一般の人は、必ずと云っていいほど、この絵の前に立ち止まった。リアルな表現が一般受けするのだ。最終的に、「一碧湖」は湘南平塚画廊のお客さんのところに行った。

背が高く品の良いお年寄りが丁寧に作品を見ていた。帰りがけに記帳してくれたので、お礼かたがた、「絵を描かれているんですか?」と声をかけた。

「いいえ、絵を売る立場の者として作品を拝見しました」。初めての経験なので驚いた。新聞情報で二人展に来てくれたらしい。
須崎港1
元画商が選んだ私の1点

20~50万円程度で売る絵を扱ってきたと云う。90歳で、もう画商はリタイアしたが、まだ美術年鑑に画商として名前が載っているそうで、佐藤哲とは懇意だという。

「安曇野を描いた山下毅を知っていますか?」と訊ねられた。山下大五郎は知っているが、山下毅は知らなかった。ネットで作品と経歴を見た範囲では、私に比較的近い存在の作家ように思えた。
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元画商が選んだ妻の1点

画商としての私の作品の評価を尋ねたら、「達者ですねえ。」と、微妙な表現をした。
15年ほど前に、日洋会の理事長だった故・塗師祥一郎から、同じようなことを云われたことを思い出した。「達者だねえ、でも、喜んじゃいけないよ。」だった。

「私と妻の作品を1枚づつ選ぶとしたら・・」、と訊ねた。「絵は名があるから価値がある訳ではありません」、「名がなくても、いい絵はいい絵なんです」、と云って選んだのがこの2点だった。

人展にはいろいろな人が来た。せっかく来てくれたのだから、出来るだけ会話するように心がけた。
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公募展をやっている人達は会期の早めに来る。サッと作品を見て、先方から積極的に話しかけてくる。たいてい、〇〇会に出していて、〇〇で賞をとったと自慢する。「人のふり見て我がふり直せ」だな。
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美術館巡りの人は、歩きながら斜めに絵を見ていく。入り口の受付に置いてあるポストカードをこともなげに、これも斜めにサッと手に取り、出ていく。
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買いたいような思わせぶりに、「売れるでしょう?」と、やたら絵を誉める人もいる。「絵を置いている画廊の名刺をあげましょうか?」というと、あわてて打ち消して去っていく。
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妻の作品(9)

もっと困る人もいる。メジャーを取り出して作品の幅を測っている。「此処は美術館で、絵を売るところではないんです。」「それに、これは記念の作品だから手放しません。」と云っても「何故だ?」。そしてすぐ絵の値段の話になる。
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妻の作品(10)

少し絵を描いているという人は、話の内容が控えめで、一番丁寧に見ていく。最後に芳名帳に記帳し、ポストカードを「良いのかな?」と遠慮しながら持って行く。もちろん、そういう人が一番多い。
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妻の作品(11)


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