季節の風の中で

自然に感動した時、生きている事を実感する。その感動を誰かに伝えたい

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風景を見て、「あー!、 いい」という感動が絵を描かせる。その光景は不思議と、構図とか、光とか、構成のボリュームとか、色とか、いろいろな要件が調和している。

だから、それを描こうと決めた時、頭の中には完成形が見える。

一方、「桜がきれいに咲いている」、という現象だけで絵にするのはかなり難しい。

高麗山の桜を、湘南平塚画廊のお客さんに、描いてくれと頼まれた。

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高麗爛漫(油彩  F8)  この絵、「額も作品」と思わないと見れない

依頼されたのは、去年の桜が終わった頃だった。1年待ってもらい、4月の初めにスケッチに行ってきた。
一つの丸い山と横一直線の桜だから、構図もなく、ただ風景を写生するしかない。

二人展が終わって落ち着いたので油彩に描いた。「これが自分の作品と云われるのもちょっと・・」と悩みつつ描いた。

プロは頼まれればどんな絵でも描くそうだ。プロになれないな。

二人展が終わり、8点の作品が友人達のところに行った。永く掛けてくれればいいが、友人達も断捨離世代なのが気になる。

正直、作ったばかりの額を付けてやるのが、ちょっと惜しい気がする。料簡が狭いようだが、額作りの労力を思い出すからだ。これで先輩方や友人達に一通り行き渡ったが、「気持ちが伝わったかなあ」。
一碧湖湘南ギャラリ奥谷
一碧湖(油彩 F6)

一応、希望する作品を聞いたが、1番人気だったのが「一碧湖」、5人が「これが欲しい」と云った。私としては、「未発表だからこれも出すか」といった程度の作品だった。

二人展に来た一般の人は、必ずと云っていいほど、この絵の前に立ち止まった。リアルな表現が一般受けするのだ。最終的に、「一碧湖」は湘南平塚画廊のお客さんのところに行った。

背が高く品の良いお年寄りが丁寧に作品を見ていた。帰りがけに記帳してくれたので、お礼かたがた、「絵を描かれているんですか?」と声をかけた。

「いいえ、絵を売る立場の者として作品を拝見しました」。初めての経験なので驚いた。新聞情報で二人展に来てくれたらしい。
須崎港1
元画商が選んだ私の1点

20~50万円程度で売る絵を扱ってきたと云う。90歳で、もう画商はリタイアしたが、まだ美術年鑑に画商として名前が載っているそうで、佐藤哲とは懇意だという。

「安曇野を描いた山下毅を知っていますか?」と訊ねられた。山下大五郎は知っているが、山下毅は知らなかった。ネットで作品と経歴を見た範囲では、私に比較的近い存在の作家ように思えた。
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元画商が選んだ妻の1点

画商としての私の作品の評価を尋ねたら、「達者ですねえ。」と、微妙な表現をした。
15年ほど前に、日洋会の理事長だった故・塗師祥一郎から、同じようなことを云われたことを思い出した。「達者だねえ、でも、喜んじゃいけないよ。」だった。

「私と妻の作品を1枚づつ選ぶとしたら・・」、と訊ねた。「絵は名があるから価値がある訳ではありません」、「名がなくても、いい絵はいい絵なんです」、と云って選んだのがこの2点だった。

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