時期的に7月なので、最近の出来事のように錯覚させますが、2010年のスケッチ旅です。yahooのブログを書いていた時、サイズ制限で1記事に出来なかったものです。
11件の過去ログを、読みやすいように時系列に、一編記事に再編集しました。読みやすくなりましたが、長いです。
はじまり(7/2)
北海道スケッチ旅行は2度目。前回は道東・道央を描いた。今回は積丹・宗谷・襟裳、いずれも先端を目指し、その途中のスケッチポイントも探していく。
夕刻に大洗を出航。船出の独特な雰囲気の余韻に浸りながら、夕食をとる。貧乏旅行だが、時間たっぷりの私達夫婦の贅沢旅行が始まった。 (フェリーサンフラワー ふらの船中泊)
北海道1日目(7/3) 苫小牧―支笏湖―洞爺湖―真狩
翌日、昼過ぎに苫小牧港に到着。あいにく、初日から雨。先は長い、西に向け走り出す。支笏湖は雨にかすんでいたが、洞爺湖に着く頃には晴れ間も見えてきた。昭和新山は近すぎて、ちょっと絵にしにくい。洞爺湖も観光地なので、描く気が起きない。
今日は半日しかないので、洞爺湖の西を回って、早めに車中泊予定地に向かう。延々とジャガイモ畑が続く、洞爺湖より絵になりそうだ。真狩村を通って、夕方には、羊蹄山の麓の道の駅に到着。
車中泊は4,5台いる。静かな公園だ。こういう所には、いつも指定席のようなテーブル付きベンチがある。ピクニック気分で、初日の安全に乾杯。 (道の駅 名水の郷京極泊)
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2日目(7/4)羊蹄山―神威岬―積丹岬―小樽―札幌―雨竜
羊蹄山
翌朝、羊蹄山がよく見えた。思っていたほど高くはない。7月なのに、谷筋にはまだ雪が残っている。美し山容だが、単独峰で緑一色、どうも描きにくい。
麓の景色を入れるため、あちこちポイントを探し回った。ジャガイモ畑を前景に描き、視線を振って、羊蹄山を描き、1枚の絵にした。
神威岬
海の色は、まるでビリジャン。これが積丹ブルーというやつか・・。
ここは、神威岬の10キロほど手前。ここは晴れているが、神威岬方面は雲の中にかすんでいる。
神威岬まで行ったら観光客が多いだろう。ここで描いた方がよさそう。誰もいない護岸に腰をかけ、積丹ブルーを描いた。
その後、積丹半島を北回りに走る。もう一つの岬、積丹岬は「今朝、熊が出た」ということで、海側に出られなかった。余市までの海岸線は視界がひらけず、がっかり。知床と同じように、良い風景は海上からしか見えない。
余市で一泊の予定だったが、まだ陽が高い。日帰り温泉で一休みし、早めに北に向かう。 小樽は観光客でいっぱいだった。北海道での渋滞にはまったのは初めて。有名な運河を横目に見て、ようやく高速に乗れた。
札幌は高速で一気に通過し、夕方には雨竜に到着。今日はよく走った。 (道の駅 田園の里雨竜泊)
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3日目(7/5)雨竜湿原ー北竜
昨日は積丹岬、余市 、小樽をパスしたので、日程に1日の余裕が出来た。今日は暑寒別岳の麓にある雨竜湿原に、日帰り登山する。
北海道暮らしの経験のある友人のお勧めだった。日程と天気次第で、登ろうと思い、登山靴を持ってきた。
1時間半のきつい登りだった。天気は何とかもった。花は時期的に、遅すぎたようだ。折角だから、湿原の帰り道、田圃の中に入り、田園雨竜を1枚スケッチした。
登山案内所で得た情報をもとに、村営の風呂を探し、登山の汗を流した。村営と云っても、パークゴルフ場まで付いたとても立派な施設だ。一般のスーパー銭湯の比ではない。
北海道の村には、立派な福祉施設が多い。明日はいよいよ道北。 (道の駅 サンフラワー北竜泊)
4日目(7/6)留萌―小平―初山別―天塩
小平
留萌から日本海側に出た。通称オロロン街道を北上する。寂しい北の海岸風景が続く。小平(おびら)で、風囲いのある無人の民家があった。イメージどおりの北海道風景なのに、どう描いても北の浜の雰囲気が出なかった。
初山別
さらにオロロン街道を北上。
初山別の道の駅の案内標識で左折し、丘を下ると港が見えた。
港は本能的に絵心が湧く。
丘の上に道の駅が見える。隣接してモーターキャンプ場がある。時間に余裕があれば、ここも車中泊によさそう。しかし、今日はさらに北の天塩まで行く。
天塩に着いた時、日没までには、まだ間があった。翌日のスケッチポイントをさがし、サロベツ原野を走り回った。原野は真っ平でポイントがない。花の時期には遅かったらしい。キスゲの花もまばらだった。それでも利尻が見えれば、絵になるかもしれない。 (道の駅 天塩泊)
5日目(7/7)稚咲内―稚内―野寒布岬―宗谷―猿払
稚咲内
翌日も朝早くから、サロベツ原野を走り回った。結局、サロベツを描くのはあきらめた。サロベツの北の外れで海岸線に出た。そこで、偶然、小さな漁港を見つけた。
人っ子ひとりいない北の港だ。浜昼顔が咲き、利尻もかすかに見える。利尻をちょっと右に振れば、絵になる。急いで油彩道具を取り出し、昼過ぎまで、一気に描いた。後で地名を調べた。稚咲内(わかさない)と読む。
北の港・稚咲内(F10油彩)
ここは、稚内の西、野寒布岬(ノシャップ)にある、恵山泊漁港、漁がシーズンオフらしく、静かだった。
北への備えなのか、北の台地の上に、自衛隊駐屯地のパラボラアンテナが何基も見えた。台地と漁港の組み合わせが、いかにも最北の港という雰囲気だった。
野寒布・恵山泊漁港(F8油彩)
天塩から北に道の駅はない。地の果て宗谷岬で車中泊するしかない。宗谷岬に着いたのは、夕暮れ時だった。
車中泊しそうな車は4,5台いたが、最終的には、隣の車だけしか残らなかった。とても冷たい風が吹き、かすかに樺太が見える。
あいにく今日は節電日だそうで、広い駐車場は暗くなった。隣の車はロシヤ語放送を熱心に聞いている。工作員? そんなことはないだろうが、とても不気味だ。
6日目(7/8)猿払―サロマ湖―美瑛
「これで安心して眠れる。」と、思ったが、真夜中に、自衛隊の1連隊がやってきた。それがルールなのか、一晩中エンジンをかけっぱなしだった。大きな車が相当な数なので、うるさいこと。でも怪しいロシヤ語よりましだ。
宗谷丘陵を描きたいと思ってここまで来たが、今日は雨でムリ。
あきらめ、オホーツク海側をゆっくり南下する。途中、道路脇に車を止め、車の中から猿払の牧場をスケッチした。
雨の中、同じような景色が続く。一気に南下。クッチャロ湖もサロマ湖も絵にならなかった。上湧別の日帰り温泉で一息いれ、道央に向かう。
旭川紋別自動車道路に入った頃は、土砂降りになった。大台ヶ原では、100円玉の雨粒が降るという。そんなものではない。これは、500円玉だ。先も見えない。それなのに、他の車は80,90キロで走る。
かなり恐ろしい体験だった。旭川に入る頃、ようやく西の空が明るくなった。美瑛は2度目。勝手知ったる、ふるさと市場。去年とおなじように、公園の小高いベンチで、夕陽を見ながら、今日の安全に乾杯。 ( 美瑛 ふるさと市場泊)
7日目(7/9)美瑛-十勝岳―南富良野
去年の美瑛は、雨で何も描けなかった。それで、また来た。今年は晴れているが、遠景はかすんでいる。でも贅沢はいえない。雨よりましだ。
人のいない朝早くから、油彩で描き始めた。ここは有名なカメラポイントらしい。時間が経つにつれ、観光客が多くなってきた。ひっきりなしに見学者がのぞき込む。かなりの度胸が必要だ。
美瑛(油彩F8油彩)
午後、十勝岳に向かう。登山口の望岳台は、ひらけた丘で駐車場になっている。寒さなのか、高さなのか、ここから見る十勝岳には、大きな木が生えていない。
遙か遠くの山腹に、日帰り登山者が、大勢連なって戻ってくるのが見える。もっと下調べし、朝一番でここに来たら、十勝岳に登ることが出来た。残念。
山は遠くで眺める方が絵になる。十勝岳は近すぎ描きづらい。1枚スケッチして南富良野に向かう。南富良野は2度目、様子が分かっているので安心。 (道の駅 南富良野泊)
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8日目(7/10)富良野―幾寅―金山湖―十勝
今日は雨、今年は日替わり天気だ。地元の人が、「今年は雨が多く、異常気象だ。」と、いう。道の駅の観光案内で、近くの幾寅駅が、映画、ポッポヤのロケ地だったのを知った。
無人駅事務室に、高倉健が着た制服などが展示してあった。
実際に使われている駅だが、この辺りでは、落書きしたり、いたずらしたりするような不心得者はいないのだろう。そんなことを考えながら、駅前の駐車場に止め、車の中から、木造の駅舎をスケッチした。
その後、スケッチポイントを探して付近を走り回り、車の中から金山湖のラベンダー畑をスケッチ。雨でちょっとさえないが、北海道でラベンダーを一度も描いていなかったから、まあ、よしとしよう。
村営福祉センターの風呂でさっぱりし、十勝に向かう頃には雨も上がった。 (道の駅 十勝鹿追泊)
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9日目(7/11)十勝―士幌―帯広―大樹町
十勝は今年も晴れ。山際に雲が湧いている。迷わず油彩でトウモロコシ畑を描いた。十勝は暑い。去年もそうしたように、車のバックドアを上げ、日除けにした。
幅広い、長い直線道路。その遙か彼方から、車の音だけが近づいてくる。しばらくして、大きなトラックが通り過ぎる。また静寂が続く。北海道は広く大きい。
(余談 この風景は、NHKの朝ドラの夏空に出てきた。朝ドラは見たことがなかったが、とうとう最後まで見てしまった。)
午後は、ナイタイ牧場に行った。雑誌で十勝岳と牛の写真を見て、期待していた。しかし、十勝岳は見えず、牛も遠くに見えるだけだった。景色をみるだけなら、それなりにいいのかもしれない。
牧場の売店の観光案内で、旧士幌線の高架橋跡の事を知った。糠平湖の中にあり、絵になりそう。しばらく車を走らせ、見に行った。どころが、今年は異常気象で湖の水位が高く、水没して何も見えなかった。
このまま北に向かうと層雲峡に行く。去年はトムラウシまで行って、何もなかった。今年も外れてしまった。
スケッチ旅も終盤、あと目指すは襟裳岬。帯広を通過し、太平洋側の大樹町まで一気に南下した。 (道の駅 忠類泊)
10日目(7/12)大樹町―襟裳岬―日高三石
今日は、また雨。しかも土砂降り。これで5日連続で雨・晴れを繰り返したことになる。こんなことも珍しい。黄金道路(襟裳への海沿い道路)は、今朝から通行止めになっている。これで日高越の天馬街道が通行止めになってしまったら、身動きとれなくなってしまう。
去年は逆方向に、天馬街道で日高の山を越えた。
朝一番で、天馬街道で山越し、浦河から襟裳に行くことにした。土砂降りの雨の中、必死に走った。勝手を知らぬ土地だが、去年の経験が役立った。
岬の東側に港があり、そのはずれに昆布干場がある。防寒着を着ても寒いので、車の中からスケッチをした。 (道の駅 日高三石泊)
11日目(7/13)日高三石―苫小牧
今日は北海道最終日、晴れてよかった。
誰もいない海沿いの道を、遠くから、おばあさんが一人、ゆっくり歩いてくる。道端に座り込んでスケッチをしている私に気づき、びっくり。「ああ! お絵かきが好きなんだ。」と一言。
また、ゆっくりと通り過ぎる。近くに、日高三石の小さな駅がある。「お出かけかな?」。 やがて、朝陽の中、牧場の向こうから、三石川の鉄橋を1両の電車が渡って来る。鉄橋はそれほど高くない。架線はない。電車ではなく、ディーゼル車だ。
おばあさんは、これに乗って行くのだろうか? 詩情たっぷりの風景だ。
日高三石の朝(油彩F10)
何を、何処を良いと感じるかは、それぞれ個人の感性だが、今回の旅では、稚咲内と襟裳、それに今日の日高三石が良かった。
3時に苫小牧に着き、フェリー”ふらの”に乗船。
後部展望ラウンジから、遠ざかる北海道を眺めた。
次はいつか、駒ヶ岳、函館の八幡坂を描いてみたいと思った。
残念ながら、諸事情で実現していない。
長い記事をお読みいただき、ありがとうございました。
おわり
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